信州大学医学部歯科口腔外科レジデント勉強会

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Department of Dentistry and Oral Surgery, Shinshu University School of Medicine


        Bruxismの治療法

                1999.5.10 上原

Bruxism とは

  グライディング、クレンチング、タッピング

1)原因

 1.心理的因子・・・ストレス(肉体的、精神的)

 2.局所的因子・・・早期接触

2)徴候および症状

 1.口腔外

  ・頭痛、眉間の痛み、側頭部の痛み、肩こり、咀嚼筋の圧痛、起床時の顎のだるさ

  ・顎角部の張り、咀嚼筋の肥大

  ・顎関節の自発痛、圧痛、開口障害

 2.口腔内

  ・歯の浮く感じ、歯肉のかゆみ、歯や歯肉の違和感(特に起床時)、原因不明の歯痛

  ・舌、口唇、頬粘膜に見られる歯列の圧痕 外骨症

  ・咬耗、歯牙破折、歯牙b蛯蛯フ動揺、早期接触

3)診査と診断

 1. 問診

・初診時にはブラキシズムについての説明をすることで関心を持たせる

 次回来院時(1週間後)までに自己観察をしてもらう。スタディ-モデルの印象

・自己観察とは、起床試ー鴫拶起床諮lからの歯軋り等の指摘、肉桙フ顎のだるさ、肩・頚の凝り、他人からの歯軋り等の指摘、肉体的・精神的ストレスの有無、など

 2. 診査

・口腔外

視診)顎角部の張り具合(咬筋肥大)、嚥下時のオトガイ部の緊張、

触診)顎関節の異常、咬筋の圧痛、頚部の触診、後頭骨後縁の圧痛

・口腔内

視診)舌や唇・頬粘膜の歯列の圧痕、歯牙の咬耗(上顎犬歯、小臼歯の頬側咬頭および全顎にわたる咬耗、早期接触の有無

触診)歯の動揺、早期接触の有無

 3. 診断

 上記の問診・診査結果から判断するが、夜間の歯軋り音、全顎的な歯牙の咬耗、早期接触などが特に重要な決め手となる。

4)治療法

1.患者への説明とリラクセーションの指導

目的)ブラキシズムの認識、ストレスの軽減

方法)・ブラキシズムの客観的な証拠の提示と説明=為害性を説明することにより、適度な不安感を抱かせる。(恐怖感や更なるストレスとならない程度に)

・緊張を連続させずに小休止を取ること、焦ったり・取り越し苦労をしないようにつとめること、ブラキシズムに気付いたときしばらくリラックスするよう心がけること、などを指導する

2.早期接触の除去

3.バイトプレート(バイトプレーン、バイトガード、ナイトガード)

目的)1.咬合力の分散、雑音の防止、顎関節の保護(対症的療法)

   2.末梢感覚機構の修正(原因療法)

方法)バイトプレートの必要条件

  咬合力に耐えられるだけの厚み 2〜3mm

  咬合面はできるだけ平らにする

  1週間毎にリコールをし、問診・診査・バイトプレート修理をする

4.薬物用法

極度の不眠・頭痛・顎関節痛・歯痛を訴える場合は、鎮痛剤・鎮静剤・筋弛緩剤・睡眠剤を投与して経過を観察する。しかし、長期的な薬物投与は避け、バイトプレートやリラクセーションなどの処置を中心に行っていく。

5.理学療法

マイオモニター、マッサージ、温浴などによる筋肉痛の除去などは特に差し支えないが、原因療法と併用して行うことが望ましい。

5)予後

早期接触などの局所的な因子が原因であれば、その因子を除去するのみで劇的に治癒することが多い。

心理鉄理嶋子が原因と考えられIな因子が原因と考えられる場合は治癒は難しい。また、治ったかに見えても再発する可能性は高い。  

 

 <参考文献>

歯周病学      永末書店

ブラキシズム    日本歯科評論,595:59-125,1992

ブラキシズム(2)   日本歯科評論,598:65-137,1992

Bruxism  「咬合を考える」歯界展望 別冊,89ー102,1973


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